双アーティスト展、今回は中里伸也の作品のご紹介です。

双ギャラリーで行われている双アーティスト展。
6番目の作家、中里伸也まで進んできました。
中里は純粋に写真の王道をゆく作家だと思います。しかし手法がどんどん写真から離れてゆきます。近年は、恰も絵画のように見える作品を制作し続けています。
一見写真の技法の中から大きく逸脱しても、やはり写真に拘り続けています。
塗り込められた絵画のうちに、目にする事のできない被写体が広がっているのです。
中里は1973年東京に生まれます。
学校は、プラット・インスティテュート芸術学部写真学科(ブルックリン/ニューヨーク)を2003年卒業。その後ポーラ美術財団在外研修員としてパリで1年を送ります。
中里の初期の作品は、写真家なら誰でも知っているウジェーヌ・アジェの作品をモティーフにしてダンボールで立ち上げ、それを撮る。気の遠くなるような作業を繰り返し、作品化します。それに鶏卵紙を使って時代色を出しています。私はアジェがとても好きでしたので初めて作品を見たときは、本当に驚いたのをよく覚えています。
それからの作品の変貌は大きく、展覧会の度に新たな発見があります。写真という枠の中では捉えられないと言えるかもしれません。
例えばパリで過ごした時代はセザンヌ風でリンゴや洋ナシをたくさん撮っています。じっくり構成していき、まるで絵画かと思われるほどです。
また、アフター・ザ・デ・クーニングの作品はアトリエにガラスを使って(重層的)に彼の考えるデ・クーニング像を形にします。
アフター・ザ・ド・スタールは、色彩豊かなド・スタールの作品のイメージを見事に再現しています。(しかし特定の作品の模倣ではありません。)
更に変貌する彼の作品は、写真のイメージさえ消すほど、印画紙の上に抽象的な画像で絵画とも写真とも言えない、中里にしか創り得ない新しい作品の形が生まれてきました。

untitled
2006~2007
20.3×25.4cm
Albumen print

アジェ02.jpg
untitled
2006~2007
25.4×20.3cm
Albumen print

untitled
2012年 30×34cm
type C print

sheets of glass in depth (after de kooning)
2012年 75×59.8cm
type C print

no.40
2016年 68.5×80cm
inkjet print on paper

untitled(after de Stael)
2017年 36.4×30.9cm
inkjet print on paper

untitled(after de Stael)
2017年 36.4×30.9cm
inkjet print on paper

untitled(after de Stael)
2018年 100×80cm
acrylic and inkjet print on paper

untitled
2018年 120×100cm
acrylic and pigment print on paper

untitled
2018年 120×100cm
acrylic and pigment print on paper


双アーティスト展

一色ちか子、伊藤誠、島州一、多田正美、出店久夫、中里伸也、保坂毅、松崎昭彦、山田恵子
2020
627日(土)〜89日(日)
金曜日〜日曜日のみのオープン
13
001800(日曜日は17:00まで)
尚、体調不良の方は御来廊をご遠慮くださいませ。またお越しの際はマスクの着用をお願いいたします。
また今後、新型コロナウイルスの感染状況により、再度休廊とさせていただく場合がございます。最新の情報はホームページやブログなどからご覧くださいませ。