千木良の庭



東京へ帰る日の早朝、5時半位に庭に下りてみた。柔らかな日差しが庭の木々や小さな草花たちに注ぎ始めている。露をふくんでキラキラと輝き、とり忘れた杉菜が凛として見える。
この連休は草むしりに明け暮れた。抜いても抜いても、こちらもどうぞといわんばかりに並んでいる。負けました。
しかし、抜いた後の達成感は得難い。自然の強さともいうものがあり、この次千木良に来た時は、また雑草に覆われていることだろう。

この冬はイノシシに庭を荒らされ、ぼこぼこに穴を開けられたが、私の庭の一部から山に入るので、仕方がない。こちらが、あなたのテリトリーにまで侵入してきたのだから。

このように、山近くに家を築くということは、自然と隣り合わせに生活すると言うこと。
非日常の家と呼んでいるが、今どこか忘れかけた自然の息吹がここにはあるといえる。
家と一体化した庭を、という私の目論みは自然に阻まれて中々具現化しないが、一本の木もなかった庭に、植樹した木々は確実に育っている。



私はまた日常の生活に戻るために帰っていく。しばし、木や花を、そしてイノシシも忘れて。