ART田ノ島39

美しい奥三河の自然の中に16名(味岡伸太郎、伊藤誠、江幡三香、加藤マンヤ、川邊耕一、国島征二、多田正美、松岡徹、松崎昭彦、松下誠子、丸山雅秋、武藤博美、百瀬寿、山田恵子、山本一樹、渡辺康幸)の作家の作品が勢揃いした。
 
作家の味岡さんが発案、企画そして実現した。美しく、しかし厳しい自然の中に作品をおくというのは、それなりの覚悟がいる。そしてわれわれ画廊にも•••。
野外展は、展覧会は成功しても見返りはないのが普通であろうが、同時開催で画廊3件(浜松の田町サロン、豊橋のサンセリテ、双ギャラリー)で展覧会を開いて作品を少しでも売って作家に還元することも考えていられる。
双ギャラリーでは多田正美、伊藤誠、山田恵子、松崎昭彦、松下誠子の5作家の参加となった。多田だけは室内に星の軌跡の写真の作品を展示したが、山田、松崎の作品は柔らかな木漏れ日のなかにおかれている。松下は高い木のうえから鳥の頭がのぞいている。そして伊藤の作品は人の身体に装着することで完結するが、地元の人たちが不思議そうに鏡面に映った景色を覗き込んでいる。
  
広場の中心とも言えるところに高い赤松が点在してインパクトを添えているが、その松をアルミホイルでぐるぐる巻きにしている加藤マンヤの作品は、辺りの風景を変えている。地面につきそうな松の枝に陶で焼いた風鈴が200個も吊るされている。これは渡辺康幸の作品で視覚だけに留まらず、心地よい響きが楽しめる。

たくさんの作品に触れることはできないが、ここで多田正美のサウンドエンカウンターのことに少しだけ触れるとしよう。広い敷地のほぼ中心の木立の間にたくさんの機器が持ち込まれ、大きな鍋のふたも木につるされている。リハーサルも含めて3時間あまり木々の間をしっとりと漂い、時にはハードな音が周りにぶつかるようでちょっとびっくりする。ギャラリーのような空間では感じられない広がりが、木立を、作品をすり抜けながらどこかへ消えていった。