写真の原点は何であろうか。
忠実に写し取るというのが写真の原点であろう。
中里伸也制作の、アジェの作品に酷似している写真は、ある種リアリズムの写真であろうか。だがよく見れば、「仕掛けられた嘘っぽさ」も見えてくる。
これは、写真を模型に作り直し、それを再度写真に写して、技法も古い写真になぞらえて作っている。気の遠くなる様なプロセスを経ての制作である。写真の原点に一度戻ってみたい、と言うのは、中里の言である。中里の他の写真はカラー写真であるが、ガラッと変わってピントがあっていないような不鮮明な写真である。実はすでに撮った写真を一部分拡大しているのであり、絵画的抽象写真であると言えるだろう。
郷津雅夫の窓の写真はリアルに映ってはいるが、そこに映る人達は虚像であるのか。酔っぱらっている人も、窓辺に佇む人も一様に虚ろである。
郷津のモノクロームの世界の中は、儚く美しい。
フォンクベルタの写真にみる動植物は、みんなフォンクベルタが作った架空のものである。恰も存在するもののようで騙されてしまう。
服部冬樹の写真は見事であるといえる。技術を駆使して見るものを引きつけてやまない。
常設展〜写真による〜
2012年3月3日(土)〜18日(日)
月・火曜日休廊
11:00〜19:00(日曜日は17:00まで)
SOH GALLERY K3にて