一色ちか子展

一色ちか子の花が咲きそろった。
しかし、満開の花と言えようか。じわっとして、底から湧き上がってくるアネモネ。花を描くと自ずからバックの色が気になるが、もうそんな衒いもなく、背後から光を浴びながら、凛として立っている。花を素材にして、花と取り組み、アネモネにいきつくまでの２０年の月日がたっている。

ニワトリと菊、ニワトリと蘭。菊の背後にあるニワトリの姿が、菊と対峙する一瞬とも言える時間を見事に描ききっている。蘭もしかり。

芸大で日本画を学んだと言うが、日本画、洋画と区別することに何の意味があるのか。そこには、描く人の技術を超えた心からの喜びを観たい。

絵画作品は８点とけっして多くはないが、見事に描き切った作品が、ここにある。