松下誠子展「私の中の異物」

松下誠子はこの10年来、双ギャラリーで何度も展覧会を行っている。

最初の個展は、写真をパソコンに読み込み、克明にドローイングを施す、というものであった。
彼女は彫刻と絵画の中を行きつ戻りつした表現であるが、今回は純粋に絵画のみで自身の内面を具現化しようとしている。それが組写真ならぬ、組絵画と言えるものになっている。
幾つかのパターンがある。

第一は中心にメインの絵画がありその絵を囲む感じで小さな絵が取り囲んでいる。しかしその絵との間にはあまり関連は見えないようだ。

第2のパターンは4枚の絵画で出来ている。これは同じような絵が並ぶが、重複しているような1組の絵画と言える。

第3はネガとポジのように反転した写真に下には抽象的な意味合いの絵がそれぞれある。
その他には枕の絵が4枚。丁寧に絵の具をつけて完成したところに、勢いの良い鉛筆の線が入る。これは緊張感のある不思議な絵である。

最後にサムホールの作品が5点、「うまく服がぬげない」は傾向が違う作品で、動きがあり北斎漫画をちょっと連想させている。

彼女の絵画は全て写真がベースとしてあり、パラフィンを使って洋服や枕を縫いそれを写真に撮る。そして最後に油彩画に仕上げている。やはり平面の絵画とはいえ、彫刻の作品から離れることはないようだ。

松下誠子展「私の中の異物」

2012年11月17日(土)〜12月23日(日)
金・土・日曜日のみのオープン
13:00〜18:00(日曜日は17:00まで)