2010年11月13日(土)16:00〜
多田正美サウンド・エンカウンター
多田正美のサウンドエンカウンターは、今まで何度見てきたか。
しかし、その都度、新鮮な気持ちで見られるというのは不思議だが、多田は毎回、真っ白な状態で臨むというので、頷ける。
会場には、小さなテーブルの上に、何時もの定番であるさまざまなゴムを張り巡らせた枝がある。そして小さな電子器機がびっしり並んでいる。他には竹がロープに繋がれて無造作に置かれている。そして枯れ茎が数本に、石が存在感を示している。
静かに電子音が流れ出るが、枝に繋がるゴムを多田は小枝でこすっている。瓶の中の水が、電子器機が、幽玄な音を作っていく。
静かに電子音が消えていく中で、枯れ茎が緊張感の溢れる音を作る。自然素材に移る瞬間である。
多田の背面に映像が流れる。それは、彼の身体にカメラが点いていて、作為なく映し出されていく映像である。
ロープで繋がった細竹が300本あまりは、身体に巻き付け音をだす。音は、最初は静かに、そして多田の身体も見えなくなってくる、クライマックスの音を何と表現したら良いのか。
われわれの目の届かない竹の内側を、映像は淡々と映し出していく。
そして、竹を脱ぎ捨てた多田は、カメラを竹の間に置き竹を大きく映し出して、サウンドエンカウンターは、見る側に熱い余韻を残して終わった。