2010年11月27日(土)14:00〜
西江先生には今まで何度もトークをしていただいている。
なんとご多忙で前夜は1時間しか眠っていないとか…。
始まる前はちょっとお疲れのご様子に見えたが、トークが始まると俄然目が煌めいて、お話は滑らかな口調で冗談も交え、われわれをぐんぐん西江ワールドに引き込んで下さる。
もう25年もの長い時間を、双ギャラリーの思考の源にもなり、節目の展覧会には参加をして、計り知れないものをわれわれに与え続けてくれた人である。
西江先生は文化人類学と言語学の学者である。失われゆく言語の採集として、どんな僻地にも行かれていると聞く。
近い未来には消滅する言語も多いのではと言われているが、そういう地域を勢力的に歩いていらっしゃる。
双ギャラリーとの出会いはオープンして4、5日のことであるから、もう25年前に遡のぼる。それから25年もの歳月、変わらずに双ギャラリーを見つめ続けて来られたのである。
トークは多様な話題が満載だった。だがこのトークショーの本題は、人間が加速度を増しながら進んでいく道を示唆していたのである。
冒頭に述べられた、この世はのっぺらぼうである…という言葉には深い意味が隠されている。
パソコン、インターネットの普及で人間は、ここ10年の間に生活も、何もかもすっかり変わってしまった。
要するに時間、空間、人間の関係に異なった部分がみえてきたのである。
現在の人間は、グローバリゼーションの名の下に、似通ったイマジネーションの中で動いている。人間はいつか、ワンパターンになり一種の動物になっていくのではないか。
ワンパターンの思考や行動を「のっぺらぼう」に例え、そこからわれわれに恐い問いを突きつけられて、長いトークを終えられたのである。
深く考えないで毎日を生きているわれわれに、遠い将来そんな時代が来るのであろうか。