[発 見1]
「伊藤誠×多田正美」 2010年10月16日(土)~11月14日(日)
何度も話し合いの場を持ったのだが、二人の資質の違いは大きくかけ離れているようだ。
話はしても、すり抜けていくようで、とりとめがない。
結局は、伊藤は彫刻と一緒に言葉をつくる。
多田はスピーカーで音をだすということを決めただけである。
さて、展示の日。
何も話し合わないのに伊藤,多田ともサイズの大きい作品が夫々一点(ベストサイズである)と小品が夫々数点。
言葉の必要がない程、展示もスムーズにいく。
多田の作品の間に伊藤が彫刻を取り付け、言葉の彫刻が、そこここに点在する。声高ではなくじっとして主張している。
4個のスピーカーは、コードが面白い効果をだして不思議に場を作り、二人の作品を繋げている。
スピーカーからは、多田のつぶやきのように、鳥のさえずりのように、またカエルのような音が、静かに流れでる。
遠いアンタレスの星を身体で撮った写真が絶妙なかたちをみせている。星と呼応するかのように描かれた多田の分身が動く。
伊藤の大きな彫刻が存在感を示し、壁にある小さなレリーフたちが躍動している。
小さな場は動きだし、ピリっとした空気に満たされる。
展覧会を言葉に置き換えるのは難しい。
時間が立たなければ見えてこないことの方が多いのである。
二人のトークと多田のサウンド・エンカウンターはまた次回に書こう。