「シルエット 色(不帰順)」 上村卓大 関真奈美 野村在

展示期間: 2015年9月4日~20日

双ギャラリーでは昨年1年をかけ、「予告篇」、「本篇」という展覧会をいたしました。
展示と同時に企画にも携わっていた伊藤誠が、何となく不完全燃焼ではないかと、「本篇」の終了後に問題提起をしました。若い作家の中では、これらの連続展の中では確かに燃え切ってはいなかった。作家たちとも話し合いを重ね、三回目の展覧会をすることになりました。
「予告篇」では伊藤誠、多田正美、出店久夫に加えて、6月に亡くなられた西江雅之さんが、コトバで参加という複雑な構造を持つ展覧会でした。制作活動においてパフォーマンスをした経験がないという作家の、はじめてのパフォーマンス。また、西江先生には病床をぬって、2回もの「コトバ」によるトークを聞かせていただきました。いずれも、非常に実験的な要素を含むものでした。
「本篇」は、若い作家、関真奈美、野村在がそれぞれ実験的なカタチの展覧会をいたしました。しかし、展覧会としての帰結点を見出す事が難しく、再度これらの流れを見つめ、新たな展開を模索しようという自然の発露から、再び、展覧会をすることになりました。
「本篇」では個展形式でしたが、今回はグループ展というカタチをとり、もう一人作家も加わります。何度ものキャッチボールを繰り返しながら(上村は九州に住んでいますので、関、野村の2人の作家は九州まで足を運び、思索を深めてまいりました。)漸くカタチとして生まれてきたようです。
普通のグループ展とは違い、各々が作品を持ち寄るだけではないと言えますので、多少特殊な展覧会になることは間違いありません。それほどに作家の資質が異なります。
私からの課題としては、3人に何らかのパフォーマンスをして欲しいと、言ってあります。一人を除き、2人の作家は今までパフォーマンスをしたことがありませんので、乞うご期待と言うところでしょうか。


表現方法の全く異なる3名の若手作家の展覧会です。それぞれ追求するものは、記録媒体の持つ非記録性であったり、異なるリアリティーの追求、あるいはナンセンスの新しい側面等様々ですが、通底するのは禁欲的に削ぎおとしてゆく表現でしょうか。彼らはそれぞれ新たな方法に挑みます。この展覧会のプロセスは彼らを追いこみ、得意技を封じ込めた末の新たな展開を引き出す展覧会と言えるでしょう。80年代にしばしば行われてきた現代美術における「他流試合」とは一線を画すものであり、これまで様々な実験的な試みを行い、発見の「場」を創る冒険を行ってきた双ギャラリーの新たな展開です。

伊藤誠


今回の展覧会タイトルは伝言ゲームのようなかたちで生まれました。
この伝言ゲームにはルールが二つありました。
一つ目の前提は、最終的に決定した展覧会タイトルが各々の作品のタイトルにもなるというものです。
もう一つは伝言ゲームの進め方についてで、それは次のようなものです。
1.ある人がキーワードとなる単語を出し、それを次の人に送る。
2.次の人はその単語を使って一つの文節をつくり、それをまた次の人に送る。
3.最後の人はそこにルビを振る。
僕たちは何度かのミーティングを経て、このようなルールから始めることにしました。
誰かが頭になるわけではなく、もちろん頭を引き受けている誰かがいるわけでもないので、何となく集まった三人が寄り合えるポイントを自分たちで仮設することにしました。
それが今回の展覧会タイトルであり、作品タイトルでもあります。
それぞれの担当を入れ替え何回か試行した中から、結果的にタイトルは、

   シルエット色(不帰順)

というものになりました。
このタイトルから作品をつくり始めなければいけないのは自分にとって束縛の強いことですが、一方で自分の作品を違う側面から見られそうで展覧会がとても楽しみにもなりました。
それぞれが他人の言葉を自分のものとして引き受けるという点において分有されるものはなんだろうか。
僕らにとってのそれは、異なる形式が選択された

  シルエット彫刻;色(不帰順)

と言えるかもしれません。

上村卓大、関真奈美、野村在、

KAMIMURA Takahiro, SEKI Manami, NOMURA Zai


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