展示期間: 2015年11月27日~12月20日
中里伸也は展覧会をするたびに進化を続ける。初期の作品はウジェーヌ・アジェの写真を忠実になぞる。なぞると言っても写真と同じパリの街並みを、室内を、古い店先を、自分で作ってしまう。そしてセピア調にアレンジして写真に撮っている。私はすっかり騙されてしまった。それだけ精巧に作りファインダーを覗き、19世紀末のパリになってしまっている。展覧会を開く毎にセザンヌになったりデ・クーニングになったりと変化はしている。しかし、アジェ以降の作品はカタチに拘ることはなくなってきた。もっと本質というか絵画に出来ないことを、写真で表現したいという気持ちが、強くでているように思える。
今回はモランディの作品に触発されたというが、ピントの合わないような少しボケた作品が、1500×1100mmの大型サイズに引き伸ばされている。色彩にあふれ、絵画を見るようだが、あくまで写真でしかできない不思議な作品である。狭い画廊空間一杯に、謎解きのような作品が整然として観客を待っている。

NAKAZATO Shinya
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