土の仕事 鯉江良二と田島弘庸

 

双ギャラリーでは現在、新旧二人の陶の作家の作品を展示している。

中々ブログをアップ出来なかったが、考えることが多く、短くまとめるのが難しかった。

二人の作家は、制作に土を使っているのだが、仕事の方向も内容も異なっている。

鯉江は現代陶芸の中では知る人がいない程著名な作家であるが、田島はアメリカを主な活動の場にしているので知る人は少ないだろう。

鯉江は豪放な作風で知られているが、「チェルノブイリ」や消えゆく「土の顔」、双ギャラリーで以前展示した「井の頭」etc.。鯉江の作品には、社会のそして思想の問題が鮮明にあり、それらは作品に反映されている。もし、現在進行形の福島原発の問題など、鯉江の目にはどう映っているだろうか。だが今回はコレクション展であるので、展示されているのは20数年前の作品に限られているので、少し残念でもある。

 

今回展示している「マスク」はガラスの作品である。暗く灰色の表は真っ二つに割れている。ガラスというと綺麗なものをイメージするだろうが石や何か不純物が詰められて、恰もデスマスクのような形相で、我々に何かを問いかけているようだ。

見事と言えるほどにきっぱりと対象に向き合う鯉江の気持ちが伝わってくるオブジェ。向き合わなければこんな形は生まれてこないと私は思う。

白磁の壷や茶碗を作っていても、揺るぎない精神が貫かれて気持ちが良い。

 

田島は以前、夏休みに4年間連続で双ギャラリーで展覧会を行なった作家である。

自分の顔が重要で、どこにも顔が入っている。今回は大作は展示していないが、各展覧会の作品すべてが自分であり、そんなところで森村泰昌をちょっと思い出していた。陶の技術は確かである。

酔っぱらった中年のサラリーマンがカラオケに行って飲んでマイクをもっているのを見事に描き出している。マグカップ、グラス、お皿にも自分の顔が入り真剣にそして楽しんで作っている。

 

二人の全く異なる作風を見て、私は静かな昼下がりを二人の作品に向き合いながら、この21世紀にどんな表現が生まれ、そして消えて行くのか、未来まで残して行けるのはどんな作品かと考えている。

とても贅沢な時間かもしれない。

 

コレクション展「土の仕事 鯉江良二と田島弘庸」
2012年10月5日(金)〜11月4日(日)

金・土・日曜日のみのオープン

13:00〜18:00(日曜日は17:00まで)

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