会場風景


この4人の中で純粋にモノクロームの写真の作家は、柴田敏雄と森山大道しかいません。
絵画と見まがう柴田敏雄のクオリティーのある写真は、モノクロームの極限を目指しているように見えてきます。近年、大型の写真もすべて自分で現像するという柴田の写真は、更に色彩表現を強く感じさせてくれます。ダムや山中にある癰壁などの自然の中の異物ともいうモノが、彼の独自の視点で浄化されていく写真は広く海外にも評価されています。
また森山大道はブレボケ写真というネーミングまで与えられる膨大な写真で知られる作家ですが、プリントは作家の手にかかり、自在に色を変えイメージを変えていきます。
今回出品する写真と同じイメージの写真を川崎市民ミュージアムで見ましたが、同じイメージの写真ということに長く気付かなかったことがありました。それ程異なるイメージを作りだす森山のプリントには卓越した技法と優れた感性がみられます。
森村泰昌はゴッホでデビューする前はモノクロ写真を撮っていました。双ギャラリーの「足」という展覧会で制作した自分の足を自ら撮った写真は、まだ彼の手になるプリントでした。その後、多忙になった森村はプリンターに依頼してプリントをするようになりましたが、プロのクオリティーの高い写真と、彼の自らプリントする写真の差異は、はっきり見て取れます。どちらが良いとかの比較に意味はなく、その違いを素直に見て欲しいと考えて両方のイメージの写真を展示いたします。彼のプリントした写真は今後あまり目にすることもないと思いますので、貴重な体験になるかもしれません。
最後に多田正美はデジタルを使ったプリントです。彼は音を基調に写真、映像との3つの方法での自己の表現をしています。今回の写真は20数年前に撮った映像、子供の顔に先に撮ったスライド写真を被せて、ダブった顔を撮ったユニークな仕事です。
本展覧会では、そのスライドフィルムをデジタルでプリントした写真を出品します。白と黒のイメージを、古いスライドからデジタルによって再生させるという、過去と現在、そして未来を予感させる写真かと思われます。
以上に簡単な展覧会のアウトラインを書いてみましたが、白と黒だけのストイックな表現は、カラー写真よりも更に鮮明に色彩が感じられる、そんなモノクロームの世界をこの展覧会で表現してみたいと考えております。

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